小野寺和清 / 医療法人医徳会 法人本部事務長兼真壁病院事務長
「健全経営あっての医療と介護の提供です。」その力強い眼差しには、東松島市に住む人たちの未来を背負う覚悟を小野寺さんから感じました。
宮城県東松島にある真壁病院で事務長として勤める小野寺和清さん。事務部をまとめるだけでなく、病院の全体方針や東松島市の医療と介護を提供する様々なサービスにも着手するように手掛けてきました。20年以上も勤めてきたこの病院の舵取りともいえる役職となり、未来に向けて着実に前進しようとしています。
成果を出せる、だから仕事は面白い。
小野寺さんは医療事務課に配属され、受診する患者さんの受付や医療費会計などを担当していました。入職2年目で任された未収金回収業務の経験が仕事の転機でした。
「それまでは特にやりたいこともなく、流れるまま病院に勤めていたので、仕事にやりがいを見出せずにいました。未収金担当という責任ある仕事を任され、考えて仕事をするということを学びました。患者さんがなぜ医療費を払わないのか、払えないのか。そこを押さえることで取るべきアプローチが全く異なります。自宅訪問し行政へつないだり、悪質な例には弁護士に教わりながら法廷に立つこともありました。そこで成果を出せるようになったことで、“仕事の面白さ”が分かってきました。」
「丁度、その頃から効率化されていない仕事への疑問も強く持つようになり、業務改善を上長に提案するも中々受け入れてもらえず、モヤモヤする日々もありました。“楽するための努力”は惜しんではいけないと思います。業務が効率化されていないために、残業や休日出勤が当たり前でした。業務効率化は自部署だけが恩恵を受けるものではありません。例えば、患者さんが外来の待ち時間が長いとイライラしたり、不安になって受付に何度も声をかけに来られます。私たちの受付や医療費請求が効率化することで、患者さんの待ち時間が減り、良いサービス提供が可能になります。実際に若手のうちから業務改善のプロジェクトに取り組んだ経験もありましたが、やはり仕事上で意見を通しやすくするためには役職や権限が必要だと感じました。」
医療事務課は女性の職員が多いため、小野寺さんはよく医事課の中の男性として冗談半分で“将来的には事務長候補”と言われてきました。ですが、小野寺さんは着実に成果をあげていき、キャリアを積み重ねていきます。
勇気を持って船の先頭に立つ。だからこそわかる責任の重さ。
順調にキャリアを重ね、2年前から事務長として病院全体を推進していく役割を担うようになりました。
「仕事で成果を上げられるようになり、昇進したことによって世界観が変わりました。それまでは自分のために働くだけだったのですが、それが病院のために、地域のために、そして目の前にいる患者さんのために働くように変わっていきました。もちろん役職を持って権限を与えられると、思い描いていることに向けた推進力は発揮できます。ですが、責任も付きまとうものだと感じました。病院は地域のインフラなんです。普段はあまり意識することはないと思いますが、災害時やコロナ流行など有事の砦やエンドステージの場所として存在し続けなければいけません。そのため、絶対に無くなってはいけない存在です。自らの意思決定が大きく病院の存続を左右する、それぐらいの責任を持って業務に取り組んでいます。」
「しかし一方で、少子高齢化に伴う社会保障費の増大により、医療費抑制や働き手の減少により、医療経営を取り巻く環境は年々厳しくなっています。2021(令和3)年の病院運営実態分析調査によれば全国の病院の23.1%が「黒字」、76.9%が「赤字」です。当院も後者でしたが、この2年でおこなった経営陣を中心とした経営改善プロジェクトによって一気に経営が改善され、黒字化することができました。病院内の雰囲気も変わりましたが、まだまだ課題もあります。“一部の経営陣のみが”船の先頭に立って走り続けるのではなく、“職員全員で”病院がさらに良い組織になることを目指していかなければならないと感じています。個でできることは限られますが、それが集団になればとても大きなパワーを生み出せます。瞬間風速的な改善ではなく改善を継続していくために、そして強固な組織体制を作るためにも、このことを職員のみんなに伝え続けています。」
地域の医療・介護のインフラを守る。
「真壁病院の根底にあるものは、仙台などの遠方に行かなくても住み慣れた地域で医療と介護を受け続けることができることに尽きると思います。昔と違い、病院も急性期や慢性期といった機能別に変化してきました。真壁病院は、医療と介護を途切れることなく提供し続けています。」
「病院は病気の人だけを診る場所ではなく、いきいき健康講座や100歳体操、地域包括支援センターの運営など積極的に地域へ出ていく活動もおこなっています。また、乳幼児健診、予防接種や認知症カフェのように予防の観点にも力を入れています。少し前までは、患者さんが病院に来るのを待つだけでしたが、今は病院から出ていき地域にかかわることを大切にしています。」
「もちろん、これができるのは健全経営あっての医療介護のご提供だと思っているからです。地域を支える医療と介護を提供し続けるためには、病院が健全であり、職員が充実して仕事ができる環境を整え、患者さんに質の高い医療と介護を提供する好循環を生み出していく必要があります。私たちは、患者さん、地域住民、職員のみんなが幸せになれる病院をつくっていきたい。そう思っています。」
読者へのメッセージ
「東松島市の健康は当院が守る。地域住人が安心安全な暮らしができるようサポートをする。このような気持ちで医療介護を提供しております。病気を治す。だけでなく、病気にならないために、そして病気が完治せずともうまく付き合っていくことに寄り添って参ります。また、こんな私たちの想いに共感してくれる仲間も募集しております。ぜひ一緒に楽しみながら仕事、そして地域づくりをおこなっていきましょう。」
医療法人医徳会 真壁病院
理念「病院は、患者と地域住民のためにある」
http://www.itokukai.or.jp/
温かい応援メッセージお待ちしております