児童・学童支援地域密着経営者・代表者

人生を豊かに楽しく生きるために、まだ出会ったことのない自分に出会いに行こう

児童・学童支援

佐々木綾子 / NPO法人UBUNTU 理事長

 「UBUNTU(ウブントゥ)は真っ白なキャンパスを片手に持って、あるがままに自らが感じた世界を描き、自らの人生を楽しい毎日に変えられる場所」、そう語るのはUBUNTU理事長の佐々木綾子(ささき あやこ)さんです。

 佐々木さんは、耳が聞こえなくなっていく難病を抱えていますが、そう感じさせないパワフルさ、ありのままに生きていくことの大切さを表現してくれる人です。そんな佐々木さんが、UBUNTUが福祉という枠組みから解き放たれ、「誰もが自分のライフデザイナーになれる街を目指します」という心髄があることを教えてくれました。

私の隣にいた人は“楽しそうではなかった”

 佐々木さんは、自ら耳が聞こえなくなる難病があることで、どのように生きていきたいか考えたことがあると言います。「耳が聞こえなくなっても最後まで笑って楽しく暮らすことができる、そんな居場所がほしいと思ったんです。だから、働き始めた当初は耳が聞こえない高齢者を対象とした施設で働いていました。5年程経って、今の私なら仙台という街にも耳の聞こえない人たちの居場所がつくれるかも」、そう思って帰省します。

 「仙台は耳が聞こえない子どもたちへの活動が活発な地域でした。私もボランティアとして活動していた時に“耳の聞こえない医療的ケアのある子どもに会ってほしい”と依頼されたんです。その時、初めて重症心身障害の子ども、医療的ケアが必要な子どもに出会ったんです。言葉は話せない、でも表情とか目とか、小さな変化かも知れないけど、私に訴えようとしていました。同伴していた親御さんへ、とても表情豊かで、私に何がしたいかしっかりと訴えていますよ、そうお伝えすると、今までコミュニケーションで悩んでいた親御さんも嬉しくなってくれたんです。」

 このことをきっかけに重症心身障害の子ども、医療的ケアの必要な子どもとの関わりが始まります。ですが、受け入れる施設の方向性や考え方によって、その子ども達の可能性が閉じられていく瞬間を目の当たりにするのです。「目の前にいた子ども達は、耳の聞こえない子たち以上に楽しくなさそうだったんです。聞こえない子以上に私たちの見える世界にはいなくて、隔離され、ただ横になって過ごしているだけなんです…。」

 佐々木さんは、自分が生きていく人生を共にする人にも楽しい人生であってほしい、そう考え、同じ気持ちを持った仲間とUBUNTUを設立するのです。

この世の中にあるものに“出会いに行こう”

 UBUNTUは障害のある子ども達が放課後や休日に集まる放課後等デイサービスです。森の中から木漏れ日が差し込み、“友達の家に遊びに来た”そう感じさせるワクワク感がUBUNTUの良さです。

 「UBUNTUは、どんな状況や環境にいる子ども達でも自由さを手に入れ、見たもの、感じたものをあるがままに経験していく場所です。まさにキャンパスを片手に持って冒険する感じです。UBUNTUに来る子たちは、世の中にあるものに出会いづらいこともあります。一緒に世の中にあるものに出会いに行って、感じるんです。子どもだけでなく、きょうだい、親御さんやスタッフ自身も同じように、自分の人生は自分で決めて歩むことができる。そのために必要なことを取り組んでいます。」

 そんな佐々木さんにもUBUNTUの活動を通じて変化があったと言います。「いろんな人の価値観、考え方に触れて、自分にない発想に出会えていることがとても楽しいです。以前の私なら感じなかった“感情の起伏”に出会い、“生きている”、と感じられています。今までにない自分と出会えている、こんな気持ちを感じていることで人生は楽しくなることを知りました。だから、子どもたちにも感じてほしい。」

“絶望”と“希望”の狭間で揺れながら“生き抜く力”を身に着けていく

 「子どもたち一人一人が求めていることに“福祉”という“フレーム”ではくくれないことがあります。どうしても福祉というフレームの中でやらなければいけない場面もありますが、それを当たり前と押しつけてはいけない。例えば、言葉では意思を表現できない子がいたとして、その子どもの表情や目、体全体を見なければ何を訴えているかわかりません。それを見せないように隔離されていたり、地域に開かれていなければ、言葉を越えたコミュニケーションをすることもできません。」

 「UBUNTUの活動の一つに手輪プロジェクトがあります。手話を通じて言葉ではなく身振り手振りでのコミュニケーションをとり、分かり合うことも一つの手段であることを実感してもらう活動です。UBUNTUには言葉では表現できない、だけど人生を楽しく生き抜こうとしている子どもたちがたくさんいます。人の生き方は多様であって、何が正しいとか、間違いかはわかりません。だからこそ一人一人がどう生きていきたいか、という軸を持つことが大切だと思います。障害があっても生きづらいけど、“障害がなくても生きづらい”こともあります。生きづらいからこそ、自分自身の人生を楽しく生き抜くためには何が必要か、子ども達と一緒に出会いに行くんです。今までに出会ったことのない景色やワクワクと出会い、興味や好奇心を持ち、次はどこに行こうか、そう感じ続けることに意味があると思います。」

読者へのメッセージ

 「自分が“やりたい”ということにはとことんトライしてほしい。そう思います。興味や好奇心を持って、アクションを起こしてみる。もしかしたら失敗するかもしれない。けど。その失敗から学びを得て、何度でもトライしてみる。そしたら、いつしか今まで出会ったことのない自分に出会えるんじゃないかなと思います。」

 「誰もが自分の人生を楽しく生きていきたい、そう思ったら私の周りにいる人たちが楽しくないのはほっとけないんです。だから、楽しく生きていくために何度でもトライをして、自分らしく生きていきましょう。」

NPO法人UBUNTU
https://ubuntu-sendai.monster/

Instagram
https://www.instagram.com/ubuntu.sendai/

Twitter
https://twitter.com/_ubuntu_sendai/with_replies

温かい応援メッセージお待ちしております

タイトルとURLをコピーしました